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客待ちペコ What are you waiting for, Peko?

【縄田陽介】(なわた・ようすけ)
山口県防府市のローカル紙『ほうふ日報』の記者(8年目)兼社長(1年目)。防府出身。山口大学人文学部、名古屋大学大学院人間情報学研究科、名古屋大須の電気店バイトを経て現職。居住地を舞台に制作された2009年公開のアニメ映画『マイマイ新子と千年の魔法』についてワールドプレミアからファンに支えられて広がる上映運動、地元有志が支える片渕須直監督による舞台巡りまで取材。その取材中、就職活動で面接で涙を飲んだ「ふゅーじょんぷろだくと」運営の映画館「ラピュタ阿佐ヶ谷」の皆さんに再びお世話に。好きな公共施設は山口情報芸術センター。

 

ーー 日本全体として地元志向が強まっているようです。例えば、大学に進学するとしても、同じくらいの偏差値の大学であれば地元の大学を優先する人が増えているらしいですね。親の経済的な体力がなくなっている、ということもあるでしょうけれども。
 けれどそれはつまり、人材が地元に残るっていうことでもある。そのあたりの流れを上手く取り込んで、地元の活性化に繋げられるといいのだろうけれども。

縄田:しかし、まず最初に都会に行くからこそ、異なる考え方や人脈が出来るということがあるわけじゃないですか。やはり、都市部での経験は地元で活躍するのにも価値のあるものだと思いますね。だから、単純に地元に残ることが地元にとっていいことだとはいいきれない部分もあるのではないかと。

ーー 都市と地方における様々な格差の中で、今の情報技術、つまりネットなどを活用することによって、その格差のいくらかを飛び越えていく人って生まれないのかなと思うことがあります。そういう人たちをキャッチして育てる環境を作り、適材適所で活かしていくと。

縄田:ネットだけでどれだけその人と企もうと思う人が出てくるかということにはちょっと疑問なところがあって。例えば、はてなダイアリー(ブログ)とかはコミュニティがあり暮らしてる場所による格差は確かに出にくいとは思います。けれども、地元だけで自分の好きなことだけやって、そこで何かの第一人者になるっていうことはなかなかなくって。都会に行ってそこで第一線を見て、人脈も出来て、それで何かの事情で地元に戻って、培ってきたネットワークを使ってこちらでもやれる、みたいな。そういう形でないと難しいんじゃないかなと思いますね。そこでネットがプラスの方に働く可能性はありますけど、ネットだけで行けるかっていうとそれは難しいんじゃないかと。

ーー 雪だるまを作るのにも、その種というかコアの部分を作る必要があると。
 しかし、技術自体はどこでも学べるようになってきてる。種類によるけれども。都会でも独学してる人は多いし。あと、シリコンバレーみたいな特区みたいなのが出来ても面白いかなと思いますね。

縄田:確かにカリキュラムがどんどん整備されるから、上達への高速道路が出来てますね。でも、それによってかえって頭ひとつ抜け出せないみたいな。非常に学びやすくはなったけれども、どうやって付加価値を付けるかが問題です。あと、自分の生活を維持するだけの市場があるかどうか。例えば、音楽教師とか画家とかどれくらい需要があるのかとか。やはり、都会にいけばいくほど需要はありますよね。
 ライターとかでも、いざ探してみると人材がいない。ここでやろうと思わないのか、ここでやっても仕方がないと思っているのか。やろうと思ったら都市に行くからなのかあまり見当たらないですね。兼業で、という人さえあまりいません。

ーー 話は変わりますが、昨日、地元の温泉街に行ってきたんですよ。そしたら、旅館とか商店とかの次世代の担い手が全然いないようで、今の経営者たちが引退してしまうと自動的に閉店してしまうところが沢山あるようでしたね。どんどん寂れていっている。なんかああいうのもすごくもったいないなって思うんです。
 最近、友人が宮崎でNPOを立ち上げて、現地のリソースを使いながら、観光産業とかドライブインだとか農業支援だとか色々やっているようなんですよ。あと、粗塩を作ってたりとか。それが結構盛り上がってるみたいで。ああいう風にその場所に眠っているリソースを活用していく人が増えていくといいなと。
 そういう意味では、過疎化とかも日本の中の宝物が放置されていくようなそんなワクワク感も出てくる。

縄田:ただ気になるのは、やる気のある人が出店したくても、その土地の所有者が遠方に行っていて交渉が難しかったり、条件面で折り合わなかったり、というマッチングの問題も聞こえてくることです。
 そういったクリアすべき課題は多々ありますが、何とか地元が活性化していけばいいなぁと思いますね。

(了)

photo by: sato sugar