この記事の所要時間: 150

※ブログをひとつたたむので、こちらに転載。

始まりはインドネシアのジャカルタに塾講師で行ったことだった。

世界各国には日本人の駐在員らの子どもたちのための学校があるが、公教育だけでは日本に帰った時の受験競争に対処しきれないため、民間企業の塾が存在している。その塾に臨時講師の空きができたらしく、その空きを埋めるために僕はジャカルタに向かったのだ。

仕事のある日は、朝から夜まで会社のある「Pondok Indah」で働いて、夜は「BLOK M」という外国人が主な客の飲屋街で飲んで、門の内側のセキュリティの行き届いた住宅街のアパートに帰って寝る、という生活の繰り返しだった。

夜は日本でいうキャバクラのようなところに連れられて行くことが多かった。向こうではそれを「カラオケ」と言っていたが、現地の駐在員がインドネシア語を学ぶのはこの「カラオケ」でのコミュニケーションによるところが大きい。

Booking.com

生活の中の多くの時間は現地社会と交わることはなく、ほとんど外国人エリアや裕福層ばかりのエリアなどをdoor to doorで移動する日々。塾講師なんてそんなに良い収入でもないのだが、それでも現地では社会の上流の方に組み込まれる。

ジャカルタにいたのはそんなに長期間ではなかったのだが、その中で日本への留学経験のあるインドネシア人を紹介してもらえる機会があり、その人に同行してもらって普段足を運ばないエリアを案内をしてもらったことがあった。それまで移動といえば運転手付きの車だったのが、その時にはじめて電車やバスに乗って一般的なインドネシア人の生活圏を案内してもらったのだ。

そこに広がっていた世界はとても豊潤なものに見えた。そして、自分がとても狭い空間の中で暮らしていることが、とても勿体無いことのように思えたのだ。

その時のことが、僕の海外旅行における原体験といってもいいだろう。その時に自分の中に新しい空っぽの引出しが出来たような気がしたのだ。その引出しの中に様々な経験や知識を入れていきたい。そしてその後、貪るように地を這うように各地を旅するようになる。まるで自分の中の空白を満たすように。