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インドで最も南にある町「カーニャクマリ」。この町は広大なインドという国の中でも、太陽が海から昇って海に沈んでいく唯一の場所です。アラビア海、インド洋、ベンガル湾という3つの海が交わるという稀有な特徴も持ち、そのためか多くのヒンドゥー教徒たちにとって重要な聖地になっています。

インドの最南端にある歴史ある聖地

インドという国は、海にV字型に突きだしたような形をしています。その先端部分に位置しているのが、このカーニャクマリ。この町の端っこにあるコモリン岬は、インドの最南端の地です。ここはアラビア海とベンガル湾、インド洋がひとつになっている場所。この3つの海が出会うという特別な地理的条件のためか、この町は敬虔なヒンドゥー教徒たちの聖地。そのため多くの人びとが巡礼のために訪れているのです。

「カーニャクマリ」という町の名前は女神クマーリーがその由来だといわれていて、ギリシャ・ローマの史書にも「聖なるコモリ」として記されているほど歴史の深い町なのです。

海に浮かぶ2つの岩礁と建造物

この町で一番特徴的なのは、南の海上に浮かぶ2つの岩礁にある建造物。町からみて左側が19世紀末の有名な宗教改革者が瞑想したという「ヴィヴェー・カーナンダ岩」。その右側が古えのタミルの詩人「ティルヴァッルヴァル」の巨大な像です。特に「ヴィヴェー・カーナンダ岩」には記念堂が建っており、多くの観光客が渡し船で訪れる人気のスポット。必ず訪れておきたいのが、この町の中心にある「クマリ・アンマン寺院」。女神クマーリを祀っているヒンドゥー寺院で、町で最も賑やかな場所です。高い塀で四方が囲まれているのが特徴的。一般の観光客も立ち入ることはできますが、男性は上半身裸など地元のしきたりがあります。

聖なる海での沐浴風景

一般的にインドで沐浴というと、聖なるガンジス川で、という印象が強いと思います。ですが、ガンジス川は生活用水などが流れ込んでいて聖なる川とはいえ、正直、物理的にはあまり衛生的ではありません。そのため、沐浴はしたいけれども敬遠している人も多いことでしょう。けれども、このカーニャクマリでの沐浴は、その実質、海水浴と同じなので衛生面について心配する必要はありません。そのため気軽に沐浴をすることができるのです。ガンジス川で沐浴にチャレンジできなかった人は、ここで体を清めてみてはいかがでしょうか?

ガートのそばに佇む「ガンディー記念館」

ガート(沐浴場)のすぐ近くには「ガンディー記念館」があります。1948年に暗殺されたガンディーの遺骸はデリーで荼毘に付され、その遺灰はインド各地で散骨されました。カーニャクマリにも遺灰の一部が保管されていたそうで、そこに記念館が建っているのです。インドでのガンディーという人物の存在は、紙幣にも描かれていたり、各地に記念館があったりと、その大きさに改めて驚かされます。最も南にあるこの記念館では、その影響力がこの国の隅々まで行き渡っていることを実感させられるでしょう。

海から昇る朝焼け、海に沈む夕焼け

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カーニャクマリは、インドの中で太陽が海から昇って海に沈む唯一の場所。その光景を眺めるだけでも、この町に足を運ぶだけの価値はあります。空の様子は、日々異なり一つとして同じ朝日や夕日はありません。日の出や日の入りの時間には、多くの巡礼者たちもその光景を眺めています。そのたくさんの人びとの中に混じって広々とした海と太陽を見ていると、なんだかとても神秘的な気持ちに。

おわりに

インド最南端の町・カーニャクマリ。この町はとても小さく、町にある灯台からその全景を眺めることができますよ。この町は観光地ではあるのですが、その大半はインドの人びと。あまり外国人がいないので、素朴なローカル感も楽しめます。また、南インド全般にいえることですが、北インドに比べてあらゆる面で人びとの気質が穏やか。そのため、過ごしやすいのも魅力。そんな穏やかな雰囲気の聖地で、朝日を夕日を眺められる素敵な町です。

掲載内容は執筆時点のものです。
2015/12/04-2015/12/07 訪問

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