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歴史上、様々の文明や民族が行き交ってきた、グルジアの首都・トビリシ。ここでは、現在でも多文化の混合を楽しめる、この街の魅力をご紹介していきます。歴史にグルメ、文化や建築物など、日本人にはあまり知られていないですが、とても魅力的な場所で、一度足を運んでみると忘れられなくなるほど。また、お酒好きや温泉好きにとっても必見ですよ。

複雑な歴史と重層的な文化

グルジア共和国の首都・トビリシは、人口約120万人。グルジアの東部にあるクラ川の河畔に広がっている街で、三方向を山々や小高い丘に囲まれています。紀元前1世紀にはローマの支配下に入り、4世紀はじめにはアルメニアとともにキリスト教徒が多数を占めるように。その後も、アラブ勢力、ビザンツ帝国、オスマン帝国、ペルシャの支配を受けましたが、宗教自体は変わることがありませんでした。

17世紀になると、ロシア帝国が南下してきて、1801年にグルジアを併合。ロシア革命後の1918年には一度、独立を宣言したのですが、すぐにソビエト連邦内の共和国に組み込まれました。そして1991年、ソ連の解体によって、グルジア共和国として独立。この国は、東西南北から様々な民族が行き交い、数々の他民族からの侵略もあったため、現在もその多文化の混合を感じられるところ。そのため、他では味わえないような雰囲気を楽しめます。そんな魅力的なグルジアの首都が、ここでご紹介するトビリシなのです。

ワイン発祥の地

古来より現在まで、人類を魅了し続けている飲み物「ワイン」。このワインの発祥地が、グルジアだといわれています。トビリシにいるのなら、そのワインを飲んでみない手はありません。しかも、びっくりするほどお安い!氷河期の末期の約1万年前、現在のブドウの原種といわれている「ヴィティス・ヴィニフィラ」が、カスピ海、コーカサス地方に出現したといわれています。はじめは、人類が食用に貯蔵していたブドウが発酵して、偶然、ワインのようなものができたと推測されているとのこと。

現在、グルジアでは、東部のカヘティ、南東部のカルトリ、中央部のイメレティ、北西部のラチャ・レチフミ、黒海沿岸のグリアとサメグレロ、アブハジアとアチャラの6つの産地でワインが盛んに作れています。また、それとは別に、各家庭でも自家製のワインを大量に作っていますよ。1987年、ワイン史研究家の第一人者であるヒュー・ジョンソン氏が、グルジアが8000年前からワインを作っていた「ワイン発祥の地」であると認定。そしてそのことを世界に発表しました。2012年1月にはワイン庁が設置され、官民一体となって世界にグルジアワインを広めています。

現在、トビリシ空港のイミグレーションでは、時々、ワインボトルをプレゼントされるというサプライズもありますよ。

日本人の好みにあう料理がたくさん

グルジアの伝統料理は、コリアンダー、バジル、クルミ、アーモンド、パセリなど、香辛料や調味料が豊富なところが特徴です。旧ソ連圏のなかでも、手の込んだ料理のひとつとして知られていて、ロシア・モスクワでも、グルジア料理は今でも人気。肉料理でメジャーなのは、羊や豚の串焼き・ムツヴァディ、砕いたクルミとスパイスを混ぜて作ったサツィヴィと呼ばれるバンバンジーのような鶏肉料理など。また、ハルチョーと呼ばれる肉やご飯や入ったスープも美味しくておすすめです。また、大きな水餃子のようなヒンカリも見逃せません。

トルコでおなじみのハマムまである

トビリシの旧市街の入り口には、ドーム屋根のレンガ造りの建物がありますが、じつはこれ、トルコでおなじみのハマム(トルコ風呂)なのです。グルジアは、歴史的にアラブやトルコの支配を受けてきたため、市内のあちこちにイスラム文化の名残を見つけることができます。このハマムもその中のひとつというわけ。このハマムは市内に複数ありますが、現存するものは17世紀から18世紀に建てられたものがほとんど。もともとのオリジナルは、11世紀に最盛期を迎えたものが、現在まで形を変えながら残ってきたものだそう。ハマムによっては、湯船があるので、ゆっくりと温泉のように浸かることができます。

しかも公共浴場は3ラリととても安価なので、一度は入ってみることをお勧めします。また、アカスリも格安でやっているので、お好みでやってみるといいでしょう。気になるお湯のほうも、硫黄の香りのする良質な温泉ですよ。ぜひ一度は入ってみることをおすすめします。

街に溢れるキリスト教文化と教会たち

グルジア・トビリシには至るところに、グルジア正教の教会が点在しています。また、街の露店や売店でも小さなイコンやろうそくが売られていたりと、随所にキリスト教文化の香りを感じることができます。そしてもちろん、必見の教会もたくさん。丘の上に建っている「メテヒ教会」、グルジア正教の総本山「シオニ大聖堂」、6世紀にダチ王によって建てられた「アンチスハティ聖堂」、コーカサスで一番大きい教会といわれている「サメバ大聖堂」などなど。

これらの教会を巡っているだけでも、数日が過ぎてしまうくらい、盛りだくさんなのです。

おわりに

グルジアの首都・トビリシの魅力の数々。歴史や建築物、グルメや温泉など、観光スポットと呼べるものが盛りだくさんとなっていますね。また、ワインだけでなくビールなどもとても安くて美味しいので、お酒好きの人にもたまらない場所となっています。実際に足を運んだ多くの人びとが絶賛するこの街を、ぜひ次の旅行の行き先に加えてみてください。日本からはちょっとアクセスしづらい場所にありますが、きっと行ってよかったと思える素敵な体験が待っていますよ。

掲載内容は執筆時点のものです。
2016/01/11-2016/03/31 訪問

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